「……あぁ、ごめんね」 ──その人物は、なんと不意にフードをとった。フードのしたから現れた美貌に、少女は息を呑んだ。 さらりと首筋に流れるのは、美しい銀髪。 東京買樓 れ長の目は優しげで、瞳の色は澄んだ湖のような蒼。鼻は高すぎず低すぎず、唇も厚すぎず薄すぎずで、ほどよい。そして、綺麗なパーツは、完璧なバランスに配置されていた。 中性的で美しすぎる顔立ちは、その人物の性別すらをわからなくさせていた。男なのか女なのか、顔だけではわからない。低く甘い声は、女性といわれても通用する。 しかし、その顔立ちはどこか幼さを残している。大人びた雰囲気とのアンバランスさが、さらにその人物を幻想的で魅惑的に見せていた。 「……ふ、フード取っていいんですか? 総帝様、ですよね……?」 ──総帝様。それは、史上最強と言われている人物。“白銀の刀使い”という二つ名を持ち、世界最大のギルド“月の光”の最強の隊、零番隊の隊長をつとめる人物。 少女が問うと、彼──否、彼女かもしれない──は眉尻を下げた。 「怖がる子供には見せることもあるよ。……勿論、口止めはするけどね」 有名かつ人気な総帝様。顔を見せることはない、と村長から聞いていたのだが。 総帝様の顔が知られてしまったら、彼、もしくは彼女は街を歩いたりできなくなるに違いない。まず確実に混乱が起こり、街は大変なことになるだろう。 ."